電子ピアノで重要な鍵盤の返りスピード

繰り返しになって申し訳ないのですが、電子ピアノという楽器は日々「アコースティックピアノに近づけよう」と努力して誕生している商品です。
その中の1つに鍵盤を叩いてからの音を出すまでの仕組みについても色々な工夫がなされているわけです。

さて、ピアノを弾いていると鍵盤を叩いた後に、通常の位置に戻るまでのスピードというものがあります。これはピアノ1つ1つに微妙な違いはあるものの、ピアノという楽器、楽譜の性質上、非常に重要視される機能の1つになります。
例えば、同じ音を何回も何回も繰り返して叩くとき、同じ指で叩いている姿を観たら、まだまだ練習中なのだなと思ってください。ピアノの演奏方法の1つに、このような場合は4番3番2番1番と順に指を変えていくことが基本とされています。
このように変更して行った方が、よりよい音が出るのです。これはピアノならではの特徴だと言ってもよいかと思います。当然、この特徴を電子ピアノでも出そうと努力しています。

復習になりますが、ピアノの音が出る仕組みは、鍵盤を叩くとハンマーが連動して動き、弦を弾くという仕組みで音が鳴ります。
電子ピアノとは全く異なる方法だと思うかもしれませんが、実は、結構似ているのです。あまり知られていませんが、電子ピアノにも「ハンマー」が存在するのです。
ただ、ハンマーが叩くものは弦ではなく、音が出るスイッチのようなものを叩くのです。ですので、このひと工夫のおかげで、最近ではタッチ感もアコースティックピアノに近づいてきたと言われる所以です。
ですので、同じ音を何回も繰り返すような曲でも、ピアノと同じような対応で弾くことが出来るのです。以前は、このような仕組みではなかったので、お世辞でも似ていると言えないほどでした。

ただ、あまりにも鍵盤を叩いた後の返りスピードが遅くなってきた場合は、メンテナンスをすることを強くお勧めします。
アコースティックピアノと同様、電子ピアノもデリケートな楽器です。このハンマー部分に関しては、電子機器と言えども、劣化する部分でもあります。
この部分があまりにも劣化すると、ひどいときには叩いた鍵盤が返ってこないという最悪のパターンになってしまう場合も有り得ます。
ですので、将来的にピアノ査定に出すと思うので、このときにマイナス査定にならないように、返りスピードはしっかりとチェックをしておきましょう。
知られていない(意識されない)機能にも関わらず重要視される部分でもあるので、しっかりと知識として持っておきたいところです。

電子ピアノならではの鍵盤のカスタマイズ

ピアノを全く知らないという方はイメージしにくいかもしれませんが、実はグランドピアノ・アップライトピアノに限らず、音程の高低で、鍵盤の重さが違うという性質を持っています。
音の高さが低ければ低いほど、鍵盤の重さは重くなっていきます。当然、音の高さが高くなっていけば高くなるほど、逆に鍵盤の重さは軽くなっていきます。電子ピアノも当然、その性質をしっかりと引き継いでいます。
この鍵盤の重さというものはある程度、変えることが出来ます。単純に言ってしまえば、ピアノの調律をするタイミングや、オーバーホールするタイミングで、ピアノのオーナーの好みに合わせたセッティングをするという方法です。
ですが、このセッティングはどうしても簡単に出来るものではありません。先に書いたように、それなりに大がかりなメンテナンスが必要とされるため「昨日は鍵盤が重かったから、今日は軽い鍵盤で弾きたい」というような気分での重さ変更というのは難しいところです。

電子ピアノの中には、これが簡単にセッティングできるようなタイプのものが存在します。まさに、その日の気分でセッティングが出来るほどの手軽さです。
この手のタイプのものは意外と販売されていなかったため、発表されたときには結構な反響がありました。
それもそのはずで、電子ピアノを購入する層の一部は、やはりグランドピアノの練習用に購入する方も見えます。さらには、本サイトで何度か紹介させてもらった「弾き手の癖が出る」ということです。
鍵盤の重さ、タッチ感というものは弾き手によって千差万別になりますし、完全オーダーメイドのグランドピアノやアップライトピアノですと、また千差万別に変わってきます。
ですので、この千差万別を各々の手で「自分好み」に重さを調節できるのです。これは、本当に弾き手に取ってはありがたい機能だと言えます。
極端の話をすると、全て同じ重さにも出来ますし、もっと変なことをしたいのであれば、高い音も重くも出来ると言うことです。

ともあれ、電子ピアノのメリットの1つでもよく取り上げられる「メンテナンスがしやすい」という部分にも絡んでくるかと思います。
また、ピアノ査定のときにも、この重さを変更することが出来る機能というものは重宝がられます。少しでもアコースティックピアノの重厚感ある鍵盤を再現しようとした努力の賜物が、この機能だと思います。
このような向上心が、質のよい電子ピアノが生まれ続けるのかなと実感できる部分でもあると個人的には考えています。

電子ピアノ購入・売却時は88鍵がやはり有利

ピアノの鍵盤は88鍵あります。電子ピアノにも当然、同じ数だけの鍵が存在します。ただ、その他にも61鍵というキーボードのような電子ピアノも存在します。
では、この違いは何なのか?ということが気になるかと思いますので、少々、お話していきたいと思います。

結論から言えば、やはりピアノのような88鍵の方がメリットは多いです。
当然と言えば、当然ですが、88鍵の方が61鍵のものと比べると値段が高くなります。また横幅も広がるため、サイズも一回り大きくなってしまいます。
ですが、デメリットはこれぐらいです。価値観の問題かもしれませんが、このデメリットで挙げている値段の差というものは、さほど大きいものではありません。
将来的に、グランドピアノを弾きたいと思っている方であれば、この値段差は「ない」ものと考えた方がよいぐらいです。
もちろん、趣味で遊び程度という方であれば、1円でも安くという意識が強いかと思うので、61鍵を選ぶのも全く問題はありません。言いたいのは、アコースティックピアノと共存して練習をするのであればという前提のもと値段差は無いに等しいと言いたいのです。
ただ、こういった方が電子ピアノを購入すると考える場合は、中には「アコースティックピアノだと置く場所が確保できない」という理由の方も見えるのも事実です。
ですので、この88鍵と61鍵のサイズ差というものは、好みうんぬんより、現実問題61鍵しか置けないという場合は、どうしようもないです。
ともあれ、本物志向を重視した選び方であれば、88鍵一択です。

さらに、88鍵の場合は、ピアノ査定の時にも有利に働きます。電子ピアノ自体のピアノ査定はがっかりすることが多いのですが、それを少しでも抑えるためには88鍵の方が断然有利です。
このことからも、中古で電子ピアノを購入を考えて居る方というのも、やはり88鍵のものを欲しているということを意味します。ですので、購入者側の比率も圧倒的に88鍵が多いと言えます。

上記のような理由から「88鍵」をお勧めしたいわけです。
さらに、もし長く使うのであれば、なおさら88鍵の方がよいです。理由は、長く使えば使うほど、ピアノの腕前は上がっていきます。
上がっていくと、難易度の高い曲を弾いてみたいというチャレンジもあることだと思います。アコースティックピアノの練習用としても、難易度の高い曲を弾く機会があります。
そのとき、61鍵だと「鍵盤がない」ということになり兼ねません。その時に買い替えるのも、考え物なので将来的にはっきりとしたビジョンがあるのであれば、88鍵が間違いなく良いかと考えます。

電子ピアノは音重視だとピアノメーカーを推奨

電子ピアノという楽器は売却しようと思い立ち、いざピアノ査定に出してみると非常に残念な結果になってしまう場合が多いです。
それほど、価値が下がっていくスピードが速いのです。そもそも電子ピアノを購入する層の特色でもあるのですが、やはりグランドピアノやアップライトピアノのようなアコースティックピアノにより近いものを求めるためです。
そして、そのニーズに応えようとメーカー側も速いテンポで、新作を出していくわけです。そういった流れもあるので、どうしても「最新技術が詰まった電子ピアノが欲しい」という情勢があるので、元々、中古電子ピアノの位置づけが、なかなか難しい立場に居るのです。
これが、要約した電子ピアノのピアノ査定の現状です。もう少し詳しく書いていきたいところですが、その前に電子ピアノのあれこれを記事にして、改めてピアノ査定にについて記載しようかと思います。
ですので、頭の片隅に、この査定のことを置いて一読してもらえると幸いです。

さて、今回のテーマは、電子ピアノのメーカーごとの音についてです。
電子ピアノを販売しているメーカーはいくつも存在し、そしてその存在するメーカーの数だけ電子ピアノという楽器の特徴があります。
どのメーカーがお勧めというのは、正直、購入する方が電子ピアノをどのように扱うか?で全く変わってくるので「これ」というものは正直ありません。

例えば、アコースティックピアノの練習用に購入したいと思うのであれば、やはり「生音」に近い音を出してくれる電子ピアノがよいです。
そうなると、やはり「カワイ」「ヤマハ」になります。さすが、グランドピアノ・アップライトピアノを販売しているメーカーだけあって、電子機器系のメーカーより格段と音が良いです。
正直、カワイとヤマハとどちらが良いのか?と問われると甲乙つけがたいのですが、それ以外と比べると、その差は一目瞭然です。
やはりピアノのプロのメーカーが作っているのだなと感心するほどでプライドを感じます。プロ野球選手とプロサッカー選手が、野球で勝負したときプロ野球選手が絶対に負けられないというプライドがあるように、ピアノメーカーも電子機器メーカーには譲れない部分はあるものだなと勝手ながら感心するほどの差です。

ともあれ、このように音を重視するのであれば、上記2つのメーカーのどちらかになります。先にも書きましたが、この2メーカーの差は皆無なので、本当に後は好みと値段ぐらいで決めるということになるかと思います。

そもそもの電子ピアノという楽器の位置づけ

先日から電子ピアノについての記事を連載しておりますが、そもそも電子ピアノの楽器的な意味での位置づけというものは何処にあるのか?
というのも、これからピアノを購入、さらにはピアノ査定などするのであれば、多少なりとも気になるところだと思います。
そこで、今回は「電子ピアノ」についての楽器としての位置づけについて記事にしていきたいと思います。

そもそも電子ピアノと言う名前だけあって「ピアノ」という位置づけなのか?と問われると、答はノーです。
明らかにピアノという楽器の構造とは違うので、ピアノとは言えないのです。では、どうやってピアノの音を出しているのか?と、気になるところです。
答えは非常に簡単です。単純に、ピアノの音を録音し再生しているだけです。なので、楽器としての位置づけはキーボードに近い存在だと言えます。
話が少々、それますが余談として「ピアノの音を録音」ということについて、補足をします。
この「録音」をして再生をしているため、音の強弱というところまで表現をするのはやはり難しいところがあります。
鍵盤を叩いたときの微妙な強弱の付け方は、結局のところ「音の大小」になってしまうため、細かな表現が難しくなっているのです。
ピアノの場合「弱い音」でも、実際には小さい音になっているわけではありません。多少なりとも小さくはなっていますが、はっきりとした音量で聞こえます。
電子ピアノとしては、この表現が非常に難しい壁になって立ちはだかっているのです。

話を戻します。では、キーボードと比べるとどうかといいますと、やはりキーボードではありません。鍵盤の数がまず違います。
そして、ピアノのようなペダルはキーボードにはないため、こういった最大の特徴の部分で差異があるわけです。

非常に、申し訳ないのですが、結局のところ電子ピアノとは、ピアノを真似た電気で動く鍵盤というところでしょうか。
正直なところ、満足の行く答えではないのかもしれませんが、このように表現するしかない状態です。

ただ、最近では、ピアノと同じ素材で何とか近づけようと努力していることも、また事実です。例えば、鍵盤の部分は、今まではプラスティック製のものでしたが
今では、ピアノと同じ素材の木で作るようになったため「触った感触」というものは、全く同じになったわけです。

ともあれ、まだまだ中途半端な存在ではありますが、日々、ピアノという楽器に近づいているということには間違いありません。
ですので、将来的に「ピアノ」と分類される日も来るかもしれません。

間違えを無くしたい電子ピアノの防音対策

電子ピアノの大きなメリットとして、よく挙げられるのが「防音対策が出来る」ということです。ヘッドフォンを付けて弾くことが出来るので、確かに防音対策は完璧な楽器だと言えます。

さて、今回はこの防音対策について、改めて考えていきたいと思います。
電子ピアノを利用するさいに、目的が趣味程度で自分自身が楽しめればよいという方であれば、このヘッドフォンを付けるだけの防音対策で全く問題ありません。この大きなメリットを最大限に活用していると言えるでしょう。
ただ、将来的にプロピアニストとして生活をしていくという可能性を残したいのであれば、ヘッドフォンの防音対策だけでは、あまりよろしくありません。
ここで、何度も取り上げていますが、将来的にピアニストとしてという意識があるのであれば、グランドピアノが一番で、次点にアップライトピアノ、それでも厳しいと言う方が泣く泣く購入するのが電子ピアノという位置づけです。
ですので、電子ピアノと格下げしてしまっても、前回の記事で紹介したように、少しでも「ピアノの音を身体で聴いておきたい」というのが本音です。
従って、ヘッドフォンの防音対策では「耳で聴く」ということになってしまいます。もちろん、深夜などに練習する際にはヘッドフォンが一番良いと言うのは変わりありません。
あくまで、音が出せる時間帯での防音対策の話になります。これも前回の記事で紹介させてもらいましたが、今、電子ピアノは工夫を工夫を重ねているため、身体で音を聴けるような状況になってきています。
せっかく、このような工夫してくれているのに、ヘッドフォンで聴いてしまっては、この電子ピアノの性能を十二分に発揮していません。

こういった理由から、私は電子ピアノの場合も防音対策を考えることを強くお勧めします。将来を考えるのであれば、なおさらです。
電子ピアノでは限界があるので、いずれはアップライトピアノ、さらにはグランドピアノのようにステップアップをしていかなければいけないので、先行して防音対策をするのも1つの手です。
どのような家庭環境になるのか、住むところがどうなるのか、と、色々な不確定要素が多い世の中のため、なかなか勇気のいることですが、将来のためにと考えて天秤に掛けてみてください。

ともあれ、電子ピアノも本当に素晴らしい性能を持っています。泣く泣くの購入かもしれませんが、せっかなので、その電子ピアノの性能を十二分に発揮できるような使用の仕方をしたいものです。

ピアノの音の性質が電子ピアノを苦しめる

今回からは電子ピアノについてお話をしていきたいと思います。本サイトでは、電子ピアノをあまり推奨していない方向での話が多かったのですが、電子ピアノには電子ピアノの良いところが沢山あります。そういった面も含めて基本的なことから、マニアックなところまで、様々な観点からお話をしていきたいと思います。

今回は、電子ピアノが苦しんでいる「ピアノの音」についてです。
ピアノの音というものは、よく「身体で聴く」という表現を用いられます。言葉通りの意味で、ピアノの音というものは、耳だけで聴いていては、本当のピアノの音を聴いていないのです。
ピアノが音を出す仕組みは、何度か紹介してきましたが、改めて記載させていただきます。端的に言ってしまえば「響板」が、弦から貰った振動を増幅して周りに音を出しています。
もっというのであれば、基本的には「響板」の振動ですが、コンサートホールなどの会場は、響板だけではなく、床、壁、天井を反射して、さらなる素晴らしい音を作り出しているのです。
アップライトピアノでも、ここまでの素晴らしい音を出すのは難しいのですが、電子ピアノも然りです。この響板を伝わってくる振動が波及していく様が、電子ピアノのスピーカーでの技術では難しいのです。

これが、電子ピアノが敬遠されてしまう所以の1つの理由ですが、最近では、高級電子ピアノと呼ばれる20万円以上もする商品であれば、響板のような音を出すために、後部にスピーカーを付けたりと色々な工夫がなされています。
それでも、やはり比べてしまうと見劣りはしてしまいますが、以前に比べて断然、良い音になっていると言われています。
電子ピアノは、確かに「まだまだ」の面はあります。認めざる得ないのですが、一方、物凄い勢いでの技術革新のおかげで、デメリットとされている部分をカバーしてきたのも事実です。

私が言いたいのは、まだまだ本物のグランドピアノのような「身体で聴く素晴らしい音」というものは出せないですが、その可能性は十二分にあるということです。
技術者たちの飽くなき挑戦が、伸び白が大きくしているのだと思っています。ですので、何年先かは分かりませんが、いつかはグランドピアノと同等レベル、もしかしたら、それ以上の素晴らしい音を奏でてくれるかもしれません。
そういった夢があるのが、電子ピアノの1つの魅力だと私は考えて居ます。いつか、本当に素晴らしい音というもの電子ピアノでも聴いてみたいと、つくづく感じています。

グランドピアノとアップライトピアノの違い(音の違い)

記事タイトルの通り、今回はグランドピアノとアップライトピアノの違いということで「音の違い」に関して焦点を当てて説明していきます。
そもそも、構造が違うので音の違いがあるというのは、変えがたい事実なので、今さら説明する必要はないと思われる方も見えるかと思います。
ですが、その特性上、何故グランドピアノがピアノ購入のときに好まれるのか?ということや、プロピアニストを目指すのであれば、グランドピアノでの練習は必須などの理由を垣間見ることが出来るので、ご一読して頂けると幸いです。

グランドピアノもアップライトピアノも共通して言えるのは「響板」と呼ばれるパーツが振動して音を伝えている仕組みになります。
ただ、この響板の設置の仕方が違うため、音の質というものが全く異なってきます。特にグランドピアノの場合は、弾き手の人間は、上蓋を上げることにより「直」に「生の音」を聴くことが出来ます。要は、響板を介さなくても直で音が聴けるということです。
一方、アップライトピアノの場合、このように上蓋を開けて直に生音を聴くということが出来ません。構造上、どうしても響板を介しての音になります。
実は、この音の違いというのは、弾き手にとってしてみると非常に大きな違いになるのです。ある程度のレベルに達してくると、音の質というものの違いが分かってくるようになります。
従って、生音と響板を介した音の違いというのは、自分の演奏している音質というものが違って聞こえる場合もあるのです。この「ズレ」というものは、プロを目指す以上、やはり生音に慣れた耳を養うことが大事なので、グランドピアノが推奨される理由がここにも隠されているわけです。

何回か分けて、グランドピアノとアップライトピアノの違いについて詳細を記事にしてきました。やはり結論は「グランドピアノ」というのが第一候補ということが理解できたと思います。
ですので、将来、子供なり自分自身がプロピアニストを目指すのであれば、もしグランドピアノ以外のものを使用していたら、どこかのタイミングでグランドピアノに変更したいところです。
その「どこかのタイミング」というものは人それぞれなので、一概にも「いつ」というのは明示できませんが、1つだけ言えるのは「早ければ早い方がよい」ということです。
ただし、以前と比べ、アップライトピアノの性能というものは飛躍的に伸びているのも事実です。従って、以前よりもグランドピアノに移行する時期も猶予が出てきていることも、また事実です。

グランドピアノとアップライトピアノの違い(弦の長さ)

弦を利用した楽器は、その弦の材質をはじめ、長さや太さ、そして弦を弾くものによって奏でる音が変わってきます。これは、至極当然のことで、ピアノにも言えることです。
さて、グランドピアノとアップライトピアノの違いについて記事にしてきましたが、今回は弦についての違いを記載しいきます。
ピアノ購入に迷ったとき、グランドピアノが推奨されるのは、くどいぐらい紹介してきました。ここでも、この弦の違いでグランドピアノが良いとされる理由があるので、迷っている方、アップライトピアノからグランドピアノに中古ピアノでも良いので購入を考えている方などの参考になればと思います。

まず、弦の張り方について違いがあります。グランドピアノは「水平」に張られます。対して、アップライトピアノは「垂直」に張られることになります。
お互いのピアノの外観を見れば一目瞭然のことなのですが、ただ「水平」「垂直」だけで音の質が変わってくるのか?とピアノ初心者の方ですと、そこまで考えは及びません。もちろん、ピアノの深さを知るには時間が掛かるので致し方がないのですが、垂直と水平になるとどういう違いが出てくるか?は知っておくべきことだと考えます。
では、その違いはというと「音の方向」が変わります。これも当然と言えば当然ですが、音が鳴る方向が違うだけで、音質というのが変わるのも事実で、そしてこれが大きな違いになるのがピアノという楽器なのです。

更には、弦の長さによっても大きな違いが出てきます。コンサート会場にあるような大型のグランドピアノは、やはり大型と言われるだけあって、奥行きが非常に深いです。イコール、弦が長いということを意味します。
弦が長ければ長いほど、大きな音が出るので、コンサートのような大きな会場で最大限の威力を発揮することになります。そして、この長さが音の表現力を高めるため、音の幅というのが大きくなるわけです。
さて、そうしたらアップライトピアノも背の高いものを利用すれば、同じことが言える。と、思われるかもしれません。確かに、そういった部分もありますが、違う部分もあります。
アップライトピアノは音を出すための構造が非常に複雑なため、弦を長くすればしたほど、グランドピアノのような表現力が単純にアップするわけではありません。グランドピアノよりも「バランス」というものが大切になるため、そう簡単にはいかないのです。
ですので、どうしても「音の表現力」というのが劣ってしまい、将来的には「幅の狭い音の表現力」しか出せないピアニストになってしまう可能性があるのです。

グランドピアノとアップライトピアノの違い(鍵盤のタッチ感)

前回の記事では、鍵盤の長さの違いから、グランドピアノの方が音の表現力が異なるという旨を記事にさせていただきました。
今回も鍵盤に関する違いになってきますが、また前回とは違いアップライトピアノの特徴と、グランドピアノの特徴が分かると思います。
更には、その違いから、何故グランドピアノが推奨されるのかも、少しは見えてくるかと思いますので、ぜひご一読していただければと思います。

当然のことなのですが、アップライトピアノとグランドピアノでは鍵盤の構造が全く違います。この違いが大きな差を生んでしまっているのです。
これは、アップライトピアノが作られた目的がグランドピアノと異なるため致し方がないのです。

さて、具体的にどのように構造が異なるかと言いますと、グランドピアノは重力を駆使して鍵盤を叩いてハンマーを動かしています。
ですので、非常に「自然」な戻りをするため、鍵盤を叩いたときには、その自然さが、上手く音に乗って表現できるのです。
対してアップライトピアノの場合は、重力ではハンマーが戻ってこないため、バネを使用しています。バネの反発力によってハンマーを操作しているため、どうしても機械的な音になってしまいます。
このバネが音の強弱を出すのも難しくしているのと、一昔前のアップライトピアノでは、連続して同じ音を鳴らすということに対して
非常に苦手意識があるのもデメリットの1つでした。とりあえず、今では技術発展があったため、この辺りのデメリットは解消はされていますが、やはりグランドピアノと比べると見劣りしてしまうのは否めません。

ただ、アップライトピアノにも、この鍵盤のタッチ感に対しては希望はあります。
簡単に言ってしまえば、技術に天井は無いということです。先に書いた通り、バネを利用している為、どうしても機械的な音のようなイメージになってしまう。これ以上は無理だ。と、言われ続けてきました。
ですが、バネを工夫することや、その周りのパーツ類も工夫することにより、色々なデメリットを解消してきたのも事実です。
今後も、このような技術革新が続きば、いつかはアップライトピアノもグランドピアノ並みの生の音が出せるようになるかもしれません。

ですので、アップライトピアノというものは、まだまだ発展途中ということです。
まだまだピアノ購入に迷ったらグランドピアノを強く推しますが、そのうち「安さで断然アップライトピアノのため」のような表現で、購入をお勧めするようになるかもしれません。