ピアノの音の性質が電子ピアノを苦しめる

今回からは電子ピアノについてお話をしていきたいと思います。本サイトでは、電子ピアノをあまり推奨していない方向での話が多かったのですが、電子ピアノには電子ピアノの良いところが沢山あります。そういった面も含めて基本的なことから、マニアックなところまで、様々な観点からお話をしていきたいと思います。

今回は、電子ピアノが苦しんでいる「ピアノの音」についてです。
ピアノの音というものは、よく「身体で聴く」という表現を用いられます。言葉通りの意味で、ピアノの音というものは、耳だけで聴いていては、本当のピアノの音を聴いていないのです。
ピアノが音を出す仕組みは、何度か紹介してきましたが、改めて記載させていただきます。端的に言ってしまえば「響板」が、弦から貰った振動を増幅して周りに音を出しています。
もっというのであれば、基本的には「響板」の振動ですが、コンサートホールなどの会場は、響板だけではなく、床、壁、天井を反射して、さらなる素晴らしい音を作り出しているのです。
アップライトピアノでも、ここまでの素晴らしい音を出すのは難しいのですが、電子ピアノも然りです。この響板を伝わってくる振動が波及していく様が、電子ピアノのスピーカーでの技術では難しいのです。

これが、電子ピアノが敬遠されてしまう所以の1つの理由ですが、最近では、高級電子ピアノと呼ばれる20万円以上もする商品であれば、響板のような音を出すために、後部にスピーカーを付けたりと色々な工夫がなされています。
それでも、やはり比べてしまうと見劣りはしてしまいますが、以前に比べて断然、良い音になっていると言われています。
電子ピアノは、確かに「まだまだ」の面はあります。認めざる得ないのですが、一方、物凄い勢いでの技術革新のおかげで、デメリットとされている部分をカバーしてきたのも事実です。

私が言いたいのは、まだまだ本物のグランドピアノのような「身体で聴く素晴らしい音」というものは出せないですが、その可能性は十二分にあるということです。
技術者たちの飽くなき挑戦が、伸び白が大きくしているのだと思っています。ですので、何年先かは分かりませんが、いつかはグランドピアノと同等レベル、もしかしたら、それ以上の素晴らしい音を奏でてくれるかもしれません。
そういった夢があるのが、電子ピアノの1つの魅力だと私は考えて居ます。いつか、本当に素晴らしい音というもの電子ピアノでも聴いてみたいと、つくづく感じています。