意外と知られていない納入調整とは何か?

ピアノの調整については、先日の記事で紹介させていただきましたが、今回は、納入調整ということについてお話していきたいと思います。

納入調整とは、読んで字のごとくピアノを納入したときに調整をすることを言います。サービスが行き届いているピアノ業者さんは、最後まできっちりと、この調整をしてくれます。
余談ですが、この納入調整をしてくれるか?してくれないか?で、ピアノ業者さんの良し悪しが分かる1つの指針になるので、購入前に是非、一度問い合わせてみましょう。

さて、この納入調整とは意外と知られていないにも関わらずかなり重要性の高い作業なのです。
その重要性についてですが、新品ピアノであろうが、中古ピアノであろうが、購入時に、そのピアノの現物を見て、さらには鍵盤を叩いてみてタッチ感や音質を確認したと思います。
それは、あくまでピアノ業者さんのお店で感じた感想です。ここがキーポイントになってきます。
実際に、納入されて満を持して実際に鍵盤を叩いてみたら、何だか違和感を覚えるという方がそれなりの数で居ます。それは、ピアノが置かれている環境が変わったということが大きな要因の1つになります。

例えばですが、小学校や中学校の体育館で使用するピアノを購入したとします。当然のことながら、体育館という場所は非常に広い建物になります。
ですが、ピアノ業者さんは、この体育館のような広さを持っていません。もしかしたら、そのような大手企業さんが見えるかもしれませんが、ここでは、体育館のような広さを持っていないとします。
勘の良い方は、何を言いたいかは薄々感じているかもしれません。この「建物の広さ」というものは、ピアノのような楽器は非常に大きな意味を持つのです。広さが違えば、音の反射等、色々な要因で音質と言うものは変わります。
従って、この納入調整にて、購入者の好みの音質や、購入時に感じた状態に少しでも近づけるための作業になるので、非常に重要になってくるわけです。

そもそもの話ですが、いくら購入時にピアノ店で音を鳴らして満足したとしても、自宅等に納入してもらったら違う音になる可能性が高いということを認識しておいた方が良いかと思います。そういった理解のもと、ピアノ選びもしていきたいところです。
また、先にも書きましたが、この納入調整をするか?しないか?はピアノ業者さんによって対応はまちまちです。全くないところもあれば、有料でやってくれるところ、無料でやってくれるところ。
と、色々あるので、必ず購入時には確認するようにしておきたいところです。

調整という作業はピアノにとって非常に大事な作業

いきなり余談ですが、ピアノを購入する際に、ピアノを売っているお店が信用に値するか?というのは非常に大きな問題だと思います。
今回、ここで紹介する「調整」というものをしっかりとしているピアノ店は、信用に値するお店と考えてよいとかと思うので、是非、購入するさいに抑えておきたい内容ですので、ご一読して頂けると幸いです。

さて、この調整ですが、調律とはことなります。さらに、調律とは違い非常に面倒な作業です。従って、ピアノ店としては、面倒な作業のため行いたくないのが本音です。
ですが、良いと言われるピアノを売るためには、この調整が非常に重要な要素になっているわけです。

では、その調整とは何か?ですが、簡単に言ってしまえば、ピアノの最適化をするということです。いくら、素晴らしいピアノでも、製作完了したときには、まだまだ「ロス」があります。そのロスをなくすために調整を行うわけです。
例えば、鍵盤を叩いてからハンマーが動くまでのロス、ハンマーが反応して弦を叩くまでのロス、ハンマーがちゃんと弦を捉えるためのスポットの調整。などなど、調整と言われて行う作業は多岐に渡ります。
安いピアノだと、その値段の対価に合わないほどの作業量になってしまうため、実際問題として調整を行わないピアノ店も居るぐらいです。

本当に大変な作業と理解できるエピソードがあります。通常に販売するピアノは、長くても平均して3日ほどかけて調整を行う場合が多いです。
ですが、大きな舞台、国際コンクール等で活躍するようなピアノの場合は数ヶ月をかけて調整することが多いのです。それほど、地道でデリケートな作業なわけです。
これが、もし一人のためのピアノであれば、その人好みに調整をすればよいので比較的、楽な作業になるのですが、これが万人受けしないといけないよう場合になるので、本当に大変なのです。

と、大変さが伝わったと思います。さて、通常、お店で購入した場合は、調整を行うべきか?行わないべきか?なのですが、良心的なお店ですと高級ピアノを購入した場合、無料でやってくれるときがあります。
もちろん無料の場合は、間違いなくお願いしましょう。では、有料の場合ですが、法外な値段でなければ強くお勧めしたいです。
新品ピアノの場合でも、中古ピアノの場合でも、ピアノとしての寿命を大きく左右する可能性があるためです。
ロスが無くなると言うことは、ピアノに対しての負担が少なくなるということで、すなわち寿命が長くなるということに繋がってくるわけです。是非、可能であれば、購入の際には調整を行うようにしましょう。

新品ピアノと中古ピアノ。どちらを買うべきか?

ピアノを購入する際に非常に悩む、中古ピアノにするのか?新品のピアノにするのか?という永遠の題材があります。
私的な意見ですが、言わせてもらうと私は断然新品ピアノを選択します。もちろん、根拠がありますが、注意して欲しい点は、中古ピアノが悪いという根拠からではありません。
中古ピアノには中古ピアノの良さというものがあるので、その良さにマッチすれば、中古ピアノを選ぶことに何ら問題はありません。

さて、その根拠の前に、もし中古ピアノを購入するのであれば1つお勧めしたいのがあります。かなり限定的になってしまいますが、ヤマハ、またはカワイのアップライトピアノ、かつ色は黒でオッケーだよというのであれば強くお勧めしたいです。
理由は、一時期、この黒色のアップライトピアノは非常に売れたときがありました。これが、25年~30年前ぐらいの話です。
しかも、購入しただけで、特に使用せずに不要となったという、まさに宝の持ち腐れ状態のピアノが多く居るのです。
なので、このように比較的に保管状態が良いものが中古ピアノの市場に多く出回っているのです。従って、比較的ですが安価に黒色のアップライトピアノを手にすることが出来るためです。
さらに、不要となった場合も、少し長めの使用期間であれば、そう損はしないほどの値段を査定で付けてくれる可能性があります。

それ以外の場合は、私は新品ピアノをお勧めしたいところです。ただし条件があります。きっちりとメンテナンスをすることです。
どのピアノもそうですが、今の中古ピアノ業界というものは、さほど値崩れせずに査定額を提示してくれます。本ブログでも再三に渡って記載していますが、ちょっとしたキズであれば問題ありません。
ただし、響板が劣化しているという致命的なものになると、下手をすると買い取ってくれません。何が言いたいかと言いますと、将来的に中古ピアノとして売るのであれば新品ピアノを買ったとしても、査定額でそれなりに戻ってくるから新品ピアノの方が良いということです。
特にスタンウェイのような高級ピアノを購入するのであれば、なおさらです。少々安いからと言って、中古ピアノを購入し、使用しいざ売ろうとしたときに寿命が来てしまっては元も子もありません。
スタンウェイの場合は、それでもアンティークとしての道が残されていますが、あまり期待はしない方がよいと思います。

こういった理由から、少々安いというだけで中古ピアノを購入するのと新品ピアノで少々高いけど売ることを考えれば、将来的にいいかもしれない。という見解で私は新品ピアノを購入して中古ピアノ市場に回すという方法がよいと思っています。

アンティークとして楽しむピアノの位置づけ

ピアノという楽器は、音楽を奏でて楽しむという以外にもアンティークとしての位置づけで楽しむということも多くあります。そこで、アンティークとして扱う場合のお話を今回の記事にて記載していきたいと思います。

ピアノに限らずアンティークなものは、世界中で大変な人気を博しています。ただ、そのコレクターの中でも楽しみ方は様々で、観賞用として楽しんでみたり、実際に使用して「昔ながら」を思い出して楽しんだりと色々です。
ピアノも例外ではなく、観賞用、音楽用と色々な楽しみ方があります。ですが、ピアノは楽器の中でも非常にデリケートなもので、音を出して楽しむと言っても限界があることも確かです。
例えば、バイオリンを例に挙げると、バイオリンは古ければ古いほど非常に価値が高まっていく傾向があります。ですが、ピアノは「音」を楽しむのであれば、古くなれば古くなるほど価値は下がってしまうのです。
従って、もしアンティークとして音を楽しむのであれば、それ相応の覚悟とメンテナンスが非常に大事になってくることをしっかりと理解をして楽しんでもらえたら幸いです。
ただ、観賞用として楽しむのであれば、外見だけを注意しておけば問題ないと思いますので、小まめな掃除で充分かと思います。

さて、鑑賞用でも音楽用でもアンティークピアノとして楽しむ場合は、必ず温度や湿度を気を付けるようにしましょう。
それは、本サイトで何度も言ってきましたので、割愛しますが、ポイントは観賞用でも見た目が変わってしまう可能性があるので、湿度と温度は注意したいということです。
従って、当然、クーラーの風が直接当たる場所などもNGですし、直射日光なんてものは持っての他です。意外とこのような注意点が疎かになってしまっている方も多く見えるのが現実です。

観賞用でも、ここまでする必要があるのか?という疑問もあると思います。
これはアンティークを楽しんでいる方の楽しみ方によりますが、基本的にはピアノ自体の形が変わってしまう可能性や、日焼けをしてしまいせっかくの綺麗な見た目が悪くなってしまう可能性があります。
従って、いくら観賞用とは言え、湿気や温度で見た目すら変わってしまうので注意する必要があると言えるのです。

ともあれ、ピアノとはデリケートな楽器なので、アンティークとしてだろうが、観賞用だろうが、色々な用途でも、小まめなしっかりとしたメンテナンスと注意は必要だということです。
特に勘違いしやすい「観賞用」の場合は注意するようにしたいところです。

そもそもオーバーホールとは何か?必要性は?

本サイトで何度かオーバーホールという言葉を出していますが、そもそもオーバーホールとは何かということを説明していきたいと思います。

簡単に言ってしまえば、ピアノのメンテナンスのことになります。ピアノは弾けば弾くほど、時間が経てば経つほど、音の質と言うものが変わってきます。さらに、鍵盤を叩く感触も徐々に変化していくデリケートな楽器です。
その音質や鍵盤のタッチ感をよくするために色々な部品などを交換したりしてメンテナンスを行うことを言います。従って、調律とは意味合いが違ってきますので注意が必要です。
さらに、中古ピアノという観点からも、自身のピアノを査定に出す場合、このオーバーホールをしていたしていなかったで、査定額に差が出る可能性もあります。
逆に、中古ピアノを購入しようと思った時も、購入したばかりの時は、特に音質やタッチ感は前オーナーや管理していたピアノ業者さんの手によって変えられていたりと、自分自身の好みになっていない可能性があります。
こういったときにも、調律と合わせてオーバーホールを実施することに非常に意義が出てくるわけです。
さらにオーバーホールは、ピアノ全体に渡る作業になるため、ピアノの命でもある響板のメンテナンスも合わせて行うことが出来ると言う強みを持っています。
響板がダメになってしまえば、ピアノとして寿命を迎える意味と同等のため、寿命が長くなる可能性が大きくなるわけです。

少々、話が逸れますが、オーバーホールという作業は本当にデリケートな作業になります。例えば、ハンマーを交換した場合、これだけでピアノのバランスが大きく変わります。
ピアノからしたら、いくらハンマーと言えども、いくらピアノメーカーの純正製品を使用したとしても、交換前と交換後のハンマーは別物なのです。
何が言いたいかと言いますと、ハンマーを交換したとき、例えば、それが1gの差があった場合、ピアノ自体の性能が大きく変わると言うことなのです。
具体的には、たった1gハンマーが重くなると叩く鍵盤は5gほど重くなると言われています。5gというのは明らかに感覚的に違うので、戸惑ってしまうことがあるわけです。
ですので、中には、このタッチ感が変わることを嫌がりオーバーホールをあまりしない方も確かに見えますが、やはり部品交換などはどうしても必要な作業になってくるため覚悟は必要です。

ともあれ、デリケートとは言え、オーバーホールというのはピアノの寿命を大きく左右するメンテナンスのため定期的にすることを強くお勧めしたいです。