ピアノの生産に変化。ピアノ業界が抱えるジレンマ。

今、ピアノ業界は大きなジレンマがあります。それは、ピアノ生産についてです。

今の日本の経済状況を始め世界各地では非常に厳しい経済状況が続いています。そんな荒波の中、ピアノ業界も非常に厳しい状況になっています。従って、いくらピアノを生産しても高いと全く売れないということになってしまっているのです。
そこで、現状の日本メーカーでは、生産拠点を中国においているのです。これは時代の流れともいえる光景なので指して珍しいことではありません。
今、日本で有名なメーカーでさえ、この状況になっているところです。今現在、私の知る限りではピアノパーツを中国で生産し、組み立てを日本で行い、そして「日本製だよ」と言って売っているのです。
これについては賛否両論あります。私自身も何かしら意見を発したい気持ちはありますが、ここでは、ピアノ業界も批判は覚悟の上というジレンマに陥っているのです。

中国で作ったパーツの性能が悪いというわけではありません。むしろ、組み立て時にしっかりとチェックをしているので、いうほど性能の心配はないのです。
大きく問題視されているのは、生産が中国で合理的に行われてしまう影響で、ピアノ自体の個性がなくなってきているということなのです。
良くも悪くも、ピアノというものはプロの職人が多くの時間をかけて完成させるため、職人の味というものが音に出てくるのです。そして、その音を聞き分けることが出来るユーザーがメーカーで判断するだけではなく作った職人の名前でも判断することも多々あります。
この「音の個性」がないため、音を聞き分けることが出来ないピアニストという音楽家が出てきているのです。これが良いのか悪いのかははっきりとは分かりませんが、個性と言う差がつきにくくなってしまったという事実はあります。

経済状況のあおりを受けて、利益を上げるために合理化した結果が最近では顕著に出始めていると警笛を鳴らしている専門家もいるほどです。
中には、スタンウェイのように完全に自国で特徴のある音を出す職人さんが多く存在します。もちろん、日本にも存在します。
こういった方々のピアノというものは、やはりどうしてもお値段的には高くなってしまいますが、合理化された特徴のない音を出すピアノとはまた違った楽しみがあると思います。

今のこのピアノ業界に対する賛否両論があるため、どちらという答えは無いかと思いますが、もし特徴のある音を出すピアノが欲しいと思った場合には、ピアノ販売業者さんとしっかりとコミュニケーションを取って
選んでいけば、職人さんが手塩にかけたピアノに出会うことができ、幸せなピアノライフを送ることができるかもしれません。